◉現地情報 0915夜◉南房総へ行ってきました。
2019年9月16日
9月15日 南房総へ
2019年9月17日

現地レポート【館山市布良・富崎地区】9月15日

昨日9月15日、NPO南房総リパブリックで2拠点居住体験のためのシェアハウスとして管理させていただいた布良ハウスの応急処置のため、新宿の南房総リパブリックサポートセンター@INBOUND LEAGUE宛にご支援いただいた物資や炊き出しのための材料と共に館山市布良地区へ。朝8:30の到着時には静かだった集落にも、時間が経つにつれ職人さんやボランティアの方々が入り始め、各所で屋根の修理や片付けの作業が始まりました。

まずは布良ハウスの屋根の応急処置を開始。まずは風に煽られてめくれ、壊れた瓦を屋根から降ろし始めます。まず気づくのが、古い建物でかつ水を含んだ屋根の野地板が柔らかくなっていて不用意に体重を掛けると踏み抜いてしまいそうなこと、そして瓦の1枚1枚が結構な重量だということ。相当な数行われている屋根の復旧作業の困難さが、身を以てわかり始めます。
全員屋根に登る作業が初めてで不慣れながら、サポートセンターのスタッフとしてボランティアで活動してくれている方、実家の鴨川からダンプに乗って駆けつけてくれたNPOメンバーの若手2人の活躍もあって少しずつ瓦が片付き始めます。

正午を過ぎたところで、ご支援いただいた物資と南リパメンバーが炊き出しのため調理した豚汁を配布するため、公民館方面へ。途中、港近くにあるメンバーの同僚の方のご実家に立ち寄り、状況をお聞きしながら物資をお分けします。ご近所にはお年寄りが多く、坂の上にある公民館まで歩いてゆくのも大変、とのこと。大変なのは、とにかく電気が来ないこと。また、路肩には各所に壊れた瓦や雨樋、外壁の残骸などがまとめて置かれていて、これが風でまた飛散するのではないかと心配しておられました(十分ではないかもしれませんが、帰りにブルーシートで覆って土嚢で重石をしておきました)。

公民館は、炊き出しや物資配給の基地になっていました。ここでサポートセンタでお預かりした物資を全てお預けし、メンバーが1人ついて豚汁をお配りしました。物資や食料は続々と届き始めていて、その点では一安心といったところ。午後になるとTVの取材も入り始めていましたが、ただでさえ狭い集落の道路に大型の中継車が入ってくる姿には地域の方も苦い表情。

午後、NPOの新年会やエコリノベプロフェッショナルスクールでお世話になった富崎の(元)旅館・富崎館にもお邪魔しました。地域のランドマークだった眺望の良い浴室や客室の外壁や窓、屋根は骨組みを残して飛散してしまい、屋根や壁も各所で破壊され、二次被害を防ぐための片付けが大勢のボランティアの方々のご協力で行われていました。粗方終わったところだったので2018年3月にエコリノベスクールで泊めていただいた、あの見晴らしの良い2階の客室にご案内いただき、富崎館の八代氏にお話をお聞きしました。被害の大きかった住宅はおそらく再建されずに空き地が増えてしまうであろうということ、今後住宅再建の困難なお年寄りをどうサポートしてゆくかが問題だということ、息子の代の若手の活躍に期待していること・・・など、地域を想う気持ちが痛いほど伝わってきます。そこから見た集落の様子を見るにつけ、これからの困難な道のりが想像されます。持続的に何かお力になれれば・・・。

日差しが照りつける中、屋根の応急処置作業は続きます。別の地区でお手伝いをしていたNPOメンバーや元ビルディングランドスケープも応援に駆けつけ、室内の片付けと屋根の応急処置は続きます。お菓子や資材、ランタンなどの差し入れ(地域を巡回して配布しています。有難い!)も頂きながら。慣れない屋根の上で、固定されていない瓦と穴の開きそうな野地板を覆い隠しながらのブルーシート張り作業は足場確保すら大変で、想像以上の難しさ。体力の消耗、日没が迫る中での焦りと闘いながら、何とか作業終了。停電の中、すでに周囲は暗闇に覆われており、完了した姿の全体を見られていないのが心配です。昨夜から嵐でシートが飛んでいないと良いのですが。

屋根の応急処置、ブルーシート張りがこんなに困難な作業だったとは。被害を受けた方の大変さのほんの一部だと思いますが、体に沁みました。集落を見渡したところ、物資の会陰じょが届いており、屋根や壁の応急処置はある程度人が入って進んでいる様子でしたが、一人暮らしのお年寄りなど支援が届いていない方がいないかどうか、気になりました。そして1日も早く電気が復旧することを祈るばかりです。

今後は、応急処置から本格的な復旧、再建の段階に入ってゆくと思います。復旧工事のための職人さんや、被災された方の仮住まいなど、刻々と変わる状況の中で何が求められているのかについて、耳をすませてゆければ。富崎館の八代氏は「皮肉なことに、こんなに活気のある布良を見たことがない・・・」とおっしゃっていました。復旧が済んだ集落に、今度は日常生活の中での活気が戻ることを、お祈りしています。