南房総リパブリックが南房総エリアでこの10年行ってきた活動は、大きな収益を得られないことが分かっていても、やらないではいられなかった「ボランティア」としての活動でした。それでもメンバーの過半は普段南房総にいない余所者。それぞれの取り組みの中で、なにか地域の役に立ちたい、という気持ちと、本当に役に立てているのだろうかという逡巡もあります。
そんな中で襲来した令和元年の台風被害。南房総リパブリックが二地域居住トライアルハウスとして空き家を借りて運営していた館山市富崎地区の「布良ハウス」も被災。屋根は大破し、住んでいたメンバーも被災者となりました。布良ハウスの応急手当てを中心に、現地に出向いたり、東京にボランティアセンターを設けて、応援物資を預かり現地に届ける活動もしました(わたし自身は台風当時ローマにおり、何もできないことに苛立っていました)。それでも被災直後の対応にしろ、その後の継続的な復興にしろ、やはり主役となるのは地元に根付いた人々。当然のこととはいえ、二地域居住という「中途半端」な関わりでは役に立てていないのではないかという思いもつのります。
その後、台風被害をうけた被災屋根の応急補修工法を考える取り組みに参加するなかで、長岡技術科学大学の上村靖司教授に出会いました。豪雪地帯で雪下ろしのボランティア活動をされていた先生から、屋根の上での安全な活動の技術を学びたかったのが知り合ったきっかけでしたが、同時に雪下ろしの素人で豪雪地帯の外からやってくる「使えないボランティア」と地元の人々のふれあいが、ボランティアと地元の人々の両方の心の中に大きな変化を生む様子をお聞きし、大きな感銘を受けました。
今回は南房総の台風被害で地域のボランティアセンターとして活動され、地域のニーズと外来のボランティアの窓口を経験され、現在はご自身で被災した旅館「富崎館」を再生して地域と外の人をつなぐ場を作ろうとされている八代健正さん(NPOおせっ会 理事長)と一緒に、南房総リパブリックがお話しをお聞きしたいと思います。
どうぞふるってご参加ください。
南房総リパブリック 副代表理事 山代 悟
〇11月25日(木)19時~21時
〇登壇者:上村 靖司(長岡技術科学大学 教授)/ 八代 健正(NPO法人おせっ会 代表)
〇ファシリテーター:山代 悟(南房総リパブリック副代表理事)/ 馬場 未織(南房総リパブリック代表理事)
〇参加費:1000円
新潟県長岡市(旧川口町)出身。世界有数の豪雪地である魚沼で生まれ育つ。最寄りの長岡技術科学大学にて機械工学を専攻し、大学院では雪害評価に取り組む。修了後同大助手に着任し、途中米国レンセラー工科大学、小山工業高専を経て現職。2004年に足元で起きた中越地震を契機に災害復興研究と支援活動に取り組むように。2年後、全国で152名もの犠牲者を数えた平成18年豪雪の惨状に心を痛め「越後雪かき道場」を立ち上げる。除雪救援と除雪安全をミッションに掲げ、15年間にわたり全国各地で除雪ボランティアの受入れ、安全技術の開発と普及に取り組んできた。著書として『雪かきで地域が育つ』(コモンズ、2018)。
文部科学省 防災科学技術委員会・主査、国土交通省 雪国の未来を考える有識者懇談会・委員など多数。
令和元年房総半島台風で実家のある富崎地区が被災。 自身が代表を務めるNPO法人を中心として災害復旧作業を継続、令和2年度を持って、復旧作業は終了とし、災害を機に元気を失った富崎を復活させるべく「復興活動」に移行。現在は元旅館だった実家「富崎館」を防災機能を備えたキャンプ施設、大衆食堂、直売所として復活させることで地域の元気を取り戻そうと悪戦苦闘中。
NPO法人南房総リパブリック副代表理事。有限会社ビルディングランドスケープ一級建築士事務所代表取締役。芝浦工業大学建築学部建築学科教授。一般社団法人HEAD研究会理事(市民防災タスクフォース代表)。地域再生や災害復興などを考えるプロジェクトデザイン研究を行うと同時に、その建築的な手法として、都市木造ともよばれる中大規模木造建築の設計や普及に取り組む。仕事柄、国内外の諸都市や地方をめぐり、行く先々に知り合いが増えていくのが楽しみ。
NPO法人南房総リパブリック理事長/建築ライター。建築、ライフスタイル、まちづくり、社会問題等の執筆を生業とする。2007年より「平日東京/週末南房総」という二拠点生活を家族で実践。2012年に東京在住者と南房総在住者がメンバーのNPO法人南房総リパブリック設立。里山学校、断熱改修事業、食の二地域交流事業など手掛ける。令和元年台風時にはサポートセンターを運営し「ボランティアからファンへ」と掲げた復興支援を続ける。被災した自宅の裏山の整備が楽しくなり、もはや趣味。